箱根駅伝の5区とは?コースの特徴や「山の神」と呼ばれる理由をわかりやすく解説
箱根駅伝の「5区」といえば、箱根の山を駆け上がる「山登り」の区間として知られています。
毎年お正月に行われる箱根駅伝では、5区で順位が大きく変わることもあり、往路の見どころの一つです。
また、5区ではこれまでに「山の神」と呼ばれるほど活躍した選手も登場しています。
では、なぜ5区はそれほど注目されるのでしょうか。
この記事では、箱根駅伝の5区がどんな区間なのか、コースの特徴や「山の神」と呼ばれる選手が生まれた理由について、分かりやすく紹介します。
箱根駅伝の5区とは?
箱根駅伝は、東京・大手町と箱根・芦ノ湖の間を往復する10区間の駅伝競走です。
往路は1区から5区までの5区間で行われ、5区は往路の最後を走る区間です。
つまり、5区の選手が芦ノ湖のゴールに到着すると、往路が終了します。
5区の大きな特徴は、他の区間とは違って箱根の山を上っていくことです。
現在の5区は小田原中継所から芦ノ湖までの20.8km。
距離だけを見ると20kmほどですが、その数字だけでは5区の厳しさは分かりません。
5区は国道1号線の最高地点付近まで一気に上っていくため、「山登りの区間」と呼ばれています。
5区のコースはどんな道?
5区は小田原中継所をスタートし、箱根・芦ノ湖を目指します。
大きな特徴は、コースの途中に長い上り坂があることです。
箱根駅伝公式サイトによると、国道1号線の最高地点は標高約874m。
5区では約16.2km地点で最高地点に到達します。
そのため、スタートしてからずっと上り続けるような印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし、実際には最高地点を過ぎると下りに変わります。
19km過ぎには箱根神社大鳥居付近を通り、芦ノ湖のゴールへ向かいます。
つまり5区は、
- 前半から中盤にかけての長い上り
- 最高地点
- 終盤の下り
- 芦ノ湖のゴール
という特徴を持った区間です。
最後まで上りだけが続くわけではなく、後半には下りへの対応も必要になります。
なぜ5区は「山登り」と呼ばれるの?
理由はもちろん、長い上り坂があるからです。
平地を走る場合と比べると、坂道では脚への負担が大きくなります。
しかも5区では、かなり長い距離を上り続けることになります。
そのため、単純に平地を速く走れる選手が、そのまま5区でも力を発揮できるとは限りません。
坂道を走るための脚力や持久力、ペース配分なども重要になります。
さらに、5区は往路の最後の区間です。
選手はチームからたすきを受け取り、山を上りながら最後の芦ノ湖を目指します。
そのため、選手にとって非常に負担の大きい区間である一方、チームにとっては往路の順位を決める重要な区間でもあります。
5区ではなぜ順位が大きく変わることがある?
平地の区間では大きな差がつかなくても、長い上り坂が続く5区では、坂道を得意とする選手とそうでない選手との差が広がる場合があります。
そのため、4区まで僅差だったチームが、5区で一気に前のチームを追い抜くこともあります。
逆に、ここで大きく遅れてしまうと、往路の順位にも影響します。
こうしたことから、5区は箱根駅伝の中でも特に重要な区間として知られています。
「山の神」と呼ばれる選手が生まれた5区
箱根駅伝の5区を語るときによく登場するのが、「山の神」という言葉です。
5区で圧倒的な走りを見せ、他の選手との差を大きく広げた選手が、こう呼ばれるようになりました。
特に有名なのが、東洋大学の柏原竜二さんです。
柏原さんは2009年から2012年まで4年連続で5区を走り、いずれも区間1位を記録しています。
箱根駅伝公式サイトの記録を見ると、2009年は1時間17分18秒、2010年は1時間17分08秒、2011年は1時間17分53秒、2012年は1時間16分39秒でした。
5区でこれほど継続して好成績を残したことから、「山の神」として広く知られるようになりました。
2011年の箱根駅伝では猪俣英希さんも5区を走った
猪俣英希さんは早稲田大学の選手として、2011年の第87回箱根駅伝で5区を走りました。
この大会での5区の記録は、1時間21分14秒で区間9位でした。
一方、東洋大学の柏原竜二さんは同じ5区を走り、1時間17分53秒で区間1位となっています。
このとき早稲田大学は総合優勝を果たしました。
箱根駅伝公式サイトの記録では、早稲田大学は10時間59分51秒で総合1位となっており、猪俣さんもその優勝メンバーの一人でした。
5区を走る選手にはどんな力が必要?
では、5区を走るにはどんな能力が必要なのでしょうか。
もちろん選手によって特徴は違いますが、5区のコースを考えると、次のような力が重要になります。
上り坂を走る力
5区最大の特徴は、長い上り坂です。
平地とは違った脚への負担がかかるため、上り坂を一定のペースで走り続ける力が必要になります。
長時間走り続ける持久力
5区は20.8kmあります。
山道だから短いというわけではなく、ハーフマラソンに近い距離を走ることになります。
長い上りを走った後にもゴールまで走り続ける持久力が必要です。
ペース配分
最初から飛ばしすぎれば、後半で苦しくなる可能性があります。
一方で、慎重になりすぎれば前の選手との差を縮められません。
長い上りをどのようなペースで走るかという判断も重要になります。
下りへの対応
5区は上りだけではありません。
最高地点を過ぎると下りに変わるため、終盤には下り坂を走る力も求められます。
上りで力を使った後に、下りをどのように走るかもポイントになります。
ここまで紹介したように、5区は上り・下り・気象条件・距離など、さまざまな要素が複雑に絡み合う区間です。
そのため、5区の理解をより深めるために、歴史的背景や気象条件、そして大学ごとの戦略についても以下に触れておきます。
5区の歴史と区間変更の背景
箱根駅伝の5区は、長い歴史の中で何度か区間の距離やルートが変更されてきました。
特に2006年大会からは、選手の安全面や負担軽減を目的としてコースの一部が見直されています。
旧5区は現在よりも距離が長く、標高差も大きかったため、選手への負担が非常に大きい区間でした。
過度な疲労や体調不良が問題視されることもあり、選手の安全を守るためにコース変更が行われました。
現在の5区は20.8kmとなり、旧コースよりも短縮されていますが、それでも山登り区間としての厳しさは変わらず、選手は依然として高い身体能力と精神力を求められます。
5区の気象条件と選手への影響
5区は気象条件の変化が激しい区間としても知られています。
スタート地点の小田原付近は比較的温暖ですが、標高が上がるにつれて気温は急激に低下します。
冬の箱根は風が強く、体感温度が大きく下がることもあり、選手は気温差による体力消耗に注意しなければなりません。
また、山間部では日差しが遮られる場所も多く、路面温度が低いことで脚の動きが鈍くなることもあります。
最高地点付近では冷たい向かい風が吹くこともあり、ペースが乱れやすいのも特徴です。
大学ごとの5区戦略
5区は各大学の戦略が最も色濃く出る区間でもあります。
山登りを得意とする「山のスペシャリスト」を毎年配置する大学もあれば、平地型の選手をあえて起用し、一定ペースで堅実に走らせる戦略を取る大学もあります。
監督は選手の体質、走りの癖、精神力、過去のレースデータなどを総合的に判断し、誰を5区に起用するかを決めます。
往路優勝を狙う大学にとって、5区は勝負の分岐点となるため、選手選びは非常に慎重です。
5区は箱根駅伝の流れを変える区間
箱根駅伝の5区は、単に「山を走る区間」というだけではありません。
往路の最後を任されるため、ここでの走りがそのまま往路の順位につながります。
また、長い上り坂があることで、選手の得意・不得意が結果に表れやすい区間でもあります。
まとめ
箱根駅伝の5区は、小田原中継所から芦ノ湖までを走る、往路最後の区間です。
現在の距離は20.8kmで、国道1号線の最高地点付近まで大きく上った後、終盤は下って芦ノ湖を目指します。
その特徴から「山登り」と呼ばれ、これまでに「山の神」と呼ばれる選手も生まれました。
2011年には早稲田大学の猪俣英希さんも5区を走り、早稲田大学の総合優勝に貢献しています。
箱根駅伝を見るときには、5区の選手がどこまで順位を動かせるのか、そして山をどのように攻略していくのかに注目してみるのもおすすめです。
